これくらいの濃度があれば、療養に利用できます。
温泉大国の日本ですが、炭酸泉の数は少なく、あまり知られていませんでした。
泉温も低いので、熱い湯が好きな日本人に好まれなかったこともあるのでしょう。
大分県の長湯温泉が有名なくらいでしょうか。
しかし、半身浴など、ぬるま湯に入る健康法にはぴったりの泉質です。
炭酸泉に含まれている炭酸ガスが体内に吸収されると、血液中の二酸化炭素濃度が上がり、酸素不足になるため、体は酸素を取り入れようとします。
そのため血管を広げて血行を増加させます。
普通のさら湯に入浴した時より、血流量は3〜5倍になります。
血管が広がるので、高血圧の治療などに応用されます。
新陳代謝も活発になるので、筋肉痛、関節痛の原因となる乳酸を減少させます。
毛細血管も広がるので、肩こり、腰痛がやわらぎます。
その他、体の表面が弱酸性になり、肌がサラサラになるなど美容効果があります。
また、さら湯での入浴に比べて3倍ほどの保温力があり、湯冷めしにくくなります。
イタリアでは弱酸性の人工炭酸泉をスキンケアやヘルスケアに使います。
ちなみに古くから炭酸泉を療養に使っていたドイツでは、湯温は32度〜34度くらいです。
2〜3日に1回、10〜15分ほど入浴します。
1ヶ月ほど続けると、血流改善の効果が2ヶ月ほど持続するようです。
日本でも人工炭酸泉のシステムが、病院や老人ホームに導入されつつあります。
さて、家庭のお風呂で炭酸というと、重曹を思いつく方もおられるかと思いますが、炭酸泉と重曹泉はちょっと違うのです。
炭酸泉は二酸化炭素泉、
重曹泉は炭酸水素塩泉となります。
どう違うのかというと、
炭酸泉は、低温の入浴でも湯冷めしにくく、入浴後も暖かい。
重曹泉は、肌触りが良く、入浴後はさっぱりしています。
このうちアルカリ性の重曹泉は、皮脂の洗浄効果に優れ、美肌の湯と呼ばれます。
ただし、脂分を落としすぎるので、入浴後はスキンケアを忘れずに。
お風呂用の炭酸水を作るには、炭酸水製水器などが必要ですが、残念ながら家庭で手軽に購入できるものではないですね。