風呂焚狐

風呂焚狐(湯治を自宅で…)

鹿児島県の昔話です。
大隈国姶良郡岩原の広い青田の畔(あぜ)を、
或日夕方に、一人の魚売女(うおうりおんな)が、
売り残した魚を持って、とぼとぼと帰ってくると、
何だか体の具合が変になってきて、
急に寒気がしてたまらないので
どうしたものかと思案していると、
丁度田畑の隅に鉄砲風呂があって、気持ちよく湯気を立てている。
女はふと考えて、
「そうだ、この野天風呂にでも入って温まっていこう」
と、荷物をおろし、湯の中へ飛び込んだ。

しばらくすると、なんとなく辺りが変に臭くなってきたので、
どうしたことかと、よく見ると、こは如何に、
お湯だと思って入っていたのは、
それは田んぼの糞尿溜(こえだめ)であった。
しかも傍らに置いた残りの魚は一尾も無くなっているので、
さては悪戯狐に一杯喰わされたかと、全身黄金佛になって、
鼻を覆いながら泣面をかいて帰っていったと云う。
posted by yunyun at 2006年03月13日04:58 | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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