人情とどけます〜江戸娘飛脚〜
足自慢の飛脚の話ですので走るシーンも豊富でしたが、その走り方(フォーム)が独特でしたので目に焼きついています。
私たちは走る時に腕を前後に振りますが、飛脚たちの走り方は違います。
肘を直角に曲げるのは同じですが、体の横に構えるのではなく、前に構えます。
ちょうど腕組みをはずした形です。
その腕を、左右交互に上下に振りながら走っていました。
見ていてとても不自然さを感じたことを覚えています。
なぜこんなことを思い出したかと言うと、愛読しているメールマガジンの、先日の記事です。
ビジネス発想源
以下、勝手に要約させていただきます。
腕を前後に力強く振り、腿を高く上げる走り方。2005年1月現在、年末からの寒波が続いています。
これは「胴上げ走り」と呼ばれ、陸上界での練習法として広く確率されています。
このフォームは西洋から入ってきたものですが、実は日本人の体格や体力には合っていなかったのです。
日本には「なんば走り」「忍者走り」といった独特のフォームがあります。
「接地時に乗り込んでいく」「重心を前へ進めることを意識する」と形容される走り方で、普通の人はあまり使わないと言われる腰の奥の腸腰筋という筋肉をうまく使った無駄のない走り方です。
江戸時代の日本人は、みな腸腰筋が発達していたそうで、「腰を入れる」「腰の構え」「本腰を入れる」などの言葉があるように、「腰」の意識が大変に強く、歩き方も独特だったそうです。
有名な「見返り美人図」の真似をしても、実は腸腰筋を鍛えなければあの美しい振り返り方はできないそうです。
しかし明治時代に西洋の軍隊式の行進が取り入れられ、日本は文明開化とともに歩き方も西洋流を強制されるようになりました。
そんな中、陸上界に「胴上げ走り」が導入されたそうですが、その後長い間、日本人は世界の舞台で活躍することはありませんでした。
2003年8月、世界陸上パリ大会の男子200m決勝で銅メダルを獲得した末續選手、バルセロナ五輪でファイナルまで残った高野進選手、100mを「10秒0」で走った伊東浩司選手は「胴上げ走り」を拒否。
彼らが取り組んだ走法は、腸腰筋をしっかり使い、腰を強く意識して走る江戸時代の身体文化に共通するものでした。
▼出典は、最近読んだこの本からです。
・世界最速の靴を作れ! (松井浩氏著/光文社)
豪雪地域では雪かきや雪下ろしで大変ですが、腰を痛めないよう気をつけましょう。
お風呂では時間をかけて温まってください。